光の少女Ⅲ【合成獣編】


「・・・で、俺は何から話せばいいんだ?」


木に拘束されたまま、火焔が口を開く。


「そうだな。まずは、何故今になって、此方に戻ってきたかだろ?」


そう言った風夜に、火焔は少し考えてから話し始めた。


「まだ向こうにいた時、偶然あいつらの話を聞いて、このままあいつらを信用していていいのか、わからなくなった」

「その話っていうのは?」

「・・・あいつらは、この世界を手に入れる為に、俺達を利用していたんだ。異界から連れてきた男のやっていた実験も、まだ繰り返すつもりらしい。それで、この世界の後、別世界を攻めるようなことも言っていたけど」


そこまで言って、火焔は一度言葉を止め、神蘭達の方を見た。


「そういえば、あいつら、この世界を手に入れた後、誰かをこの世界に迎えいれるとか言ってたな。そのこと、お前等は?」

「・・・いや、奴等がこの世界を手に入れたがっていたのと、誰かが後ろにいるのはわかってたが」

「それがどんな奴なのかまでは、まだな」


火焔に聞かれ、神蘭は首を横に振り、封魔が呟く。


「奴等を動かしてる、黒幕か・・・」

「心当たりもないのか?」

「元々、前の戦いで出てきたのは、窮姫だけだ。その戦いの後、私は眠りについてしまったし」


答えながら、神蘭が封魔、鈴麗、龍牙、白夜を順に見たが、四人も首を振っただけだった。


「お前等が知らないなら、それが誰でどんな奴なのかってことが、全くわからないってことか」

「うーん。全く心当たりがないって訳でもないわよ」


その時、そう口を開いたのは、神麗だった。


「ね、沙羅さん」

「そうね。もしかしたら、私達は知っているかもしれないわ」


そう言った神麗と沙羅に、全員の視線が集まってしまったのは、仕方のないことだった。
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