私にとっては奪うことが全てで奪われるなんて考えられないわけで。
朝早くからパパが車で連れてきた所。
「田んぼ……?」
ビルに囲まれた町。夜も眩しい程の明かりが灯る世界。それが私の生まれ育った場所。
それとは一変して、緑と青でできた町。
全てドラマの世界って感じの世界。
「じゅり、今日からここに住むんだ」
「え……?」
「パパもママも仕事が忙しくなる。16になるんだから身の回りのことくらいもう自分でできるだろう?」
「まぁ、できるけど、どういうこと?」
「じゅりの為に家を作った。今日からそこにすみなさい。こんな田舎お前には苦痛でしょうがないと思ってな」
「まって、話がよくわからない」
車がとまり、外に出ると目の前に白い家がたっていた。
「近くにパパの高校のときの友達がすんでるんだ。なにかあったら頼りなさい」
「まってよ、私、え、ここに?」
「学校まで少し距離はある。コンビニは車で30分のところだ。食料とか一応冷蔵庫にいれてあるがなにかほしいものがあったらカード置いてるから」
「パパ……」
「ごめんな、1人にして。ちゃんと顔出すから。」
パパはおでこにキスをして車をだした。
目に入るのは田んぼ田んぼ田んぼ山、山、山!聞こえる音は風の音と鳥の鳴き声。
私はなぜか気味が悪くなり渡された鍵で玄関の鍵をあえた。
「1人じゃ広すぎるよ」
いかにも私が好きそうな部屋だった。
花柄で金の淵のソファー。
白のふわふわしたカーペット。
白のテーブル。
いわゆる姫系の部屋だ。
私はソファーに座り目の前にある真っ黒な大きな画面と向き合った。