私にとっては奪うことが全てで奪われるなんて考えられないわけで。
学校につくと由紀さんと校長室で適当な話を聞いて担任の先生と少し話した。
若い男性だった。こんな田舎にこんな人いるんだって感じの雰囲気で、音楽の先生だとか。
「愛咲さん、甲斐です。よろしく」
「こちらこそ。。」
由紀さんと校長室で別れ教室に向かった。
「緊張してる?」
「あんまり。」
「ふふ、そうか」
1-Cの教室は1番奥だった。
そのせいか廊下をあるくとAとBの教室の生徒がジロジロとみてきた。
「皆君が可愛いから気になるんだよ」
「またまた」
教室に入ると話し声はピタッと止まった。元々男子校だったみたいで、男の子が多い教室。
「今日からこのクラスで過ごすことになった愛咲じゅりさんだ。」
「お願いします。」
「「「「うぇーーーーーーい」」」」
クラス中が拍手喝采だった。
「愛咲さんは東京から引っ越してきてこっちにきて間もない。右も左もわからないと思うから皆んな助けてあげてくれ」
机と机の間を通り抜け1番後ろの窓際の席に座った。
教室を見渡すと刺さっていた視線たちとぶつかった。
ニコッと微笑むとまた教室は騒がしくなった。
クラスにいる少なからずの女の子たちはそれをいいように思っていないような顔をしていた。そんなの御構い無しに耳にイヤホンをさして音楽をきいていると窓から入る優しい風に頭を撫でられいつの間にか眠っていた。
誰かに肩をトントンと叩かれた気がして振り返ると甲斐先生がたっていた。
「愛咲さん」
「あっ、えっと、ごめんなさい」
「初日からやってくれるね。」
色が白い私は顔にでる赤色がすぐにばれてしまった。
「ふふ、今は体育だ。体操服はまだったよね?」
「はい…」
「そうか。今日だけだぞ。」
先生はそういうと頭をくしゃっと撫でて教室をでていった。
お昼になり、お弁当の時間になるもお弁当なんて知らなくてお腹は空いてないけどどうしようかと思っていると待っていましたといわんばかりに甲斐先生が小さめのお弁当とお茶をくれた。
「コンビニが遠くてね。よかったら」
蓋をあけるとキャラ弁だった。
「くま?」
「ねこだよ」
「え」思わずふきだしてしまった。
ところどころ焦げてたりはあったけどおいしかった。