翠月姫
第五章

side深紗


side深紗

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「校長室、寄るぞ」


「あ、うん」



着いた学校は
いかにもお金持ちな雰囲気が漂う場所だった

湊夜って本当にお坊ちゃまなんだ…



「「失礼します」」

「どうぞ」


“ガチャ”


「ようこそいらっしゃいました。深紗さん」


中に入ると満面の笑みで迎えてくれたのは
清楚な雰囲気の女の人だった

その笑顔につられて
緊張していた私の表情も緩む


「花舞深紗さん、ですね?」


「は、はいっ」


「クスッ…私はここの理事長の水都小夜と申します」


“よろしく”と差し出される手を握ると
また満面の笑みを浮かべる


その時 背中の方から不機嫌な声が聞こえた



「…母さん、早く」


「か、母さんって…え!?」


「もう‥‥湊夜ったら!!いいじゃない〜」


私を挟んで会話をする2人を交互に見る

もう一度理事長の小夜さんに向き直ると
楽しそうな笑顔を浮かべていた


「ごめんなさいね、深紗さん。私ったら‥‥」


「いえいえそんな‥‥!!」


「湊夜がわざわざ女の子を連れてくるなんて初めてだったからなんだか嬉しくって、ねっ?湊夜」


こんなに若々しいお母さんは初めて‥‥
湊夜はなんだか落ち着きなく顔を逸らした


「深紗さん」


「は、はい!!」


「早速これから試験を行ってもらいますので、案内させますね」


小さく頷くと湊夜はすぐに私の手を引いた


「俺が連れてく」





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