翠月姫


次の日は朝からみんなで揃って登校

制服も髪型もメイクも完璧


「深紗、どした?」

「いや‥‥周りの視線が‥‥」


顔を覗き込んだ湊夜に
なんとか言葉を伝える

私は朝から冷や汗が止まらない


「周り?‥‥何か変な所なんてある?」


変なとこばっかだよ!!なんて
心の中で鋭いツッコミを入れてみたりする


「湊夜、お前鈍いなぁ。周りの女子がみんなこっち見てるんだよ。な、深紗?」


「私、そのうちとって食べられちゃいそう‥‥」



私の真剣な悩みを嶺汰は盛大に笑い飛ばした


やっと教室に着くと
私はイスに座って大きく息を吐く


「はぁー‥‥。怖かった」


「大丈夫だよっ。僕達がいるからさ!」



天使 戒斗くんが眩しいほどの笑顔を浮かべる
そんな笑顔につられて 私も少し表情が緩んだ

荷物を置いてわいわい話していると
教室のドアが突然開いた



「深紗さん、試験の結果です。優秀なのね」


「優秀‥‥?どういう事‥‥」


渡された紙を机に置くと
みんなが一斉に覗き込んだ

良く分からない文字が沢山並んでいる


しばらく沈黙が続いた後に
嶺汰が震え声で言葉を発した


「み、み、深紗‥‥お前‥‥」


「深紗ちゃん‥‥何者なの‥‥?」



みんな唖然としている
何?どういう事なの?


「私の成績、そんなに悪かったの‥‥?」


恐る恐る聞くと
湊夜が思いっきり首を横に振った


「逆だよ‥‥良すぎなんだ」


「久々の試験で高校卒業レベルって‥‥」


皆口々に驚きをこぼす
そんな様子を見ていた小夜さんはニコッと笑った


「ここでは大学の勉強まで出来ますし、やりたい所から勉強なさって?期待しています。」


「は、はいっ!ありがとうございます!」


「それじゃ。」


教室を去っていく背中を見送ると
私はまじまじと紙を見つめた

確かに良く見ると
“S判定”という文字が並んでいる


「__の、お陰‥‥なの、かな‥‥」


「ん?深紗なんか言ったか?」


私の呟きに気付いたのか
嶺汰が首を傾げる

私は慌てて首を横に振った


‥‥久しぶり口にした あの人の名前
あの人は私に 色んな事を教えてくれた。


護れなかった 私の大事な 仲間


溢れてくる涙をどうにか堪えると
私は小さく深呼吸をする


そんな様子を湊夜が見ていた事を
私は知る由も無かった




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