翠月姫
「‥‥っ!!」
俺と目が合った
深紗は一瞬も逸らさずに 俺を見つめる
「‥‥答えは分かってるはずだ、深紗」
「來希‥‥ごめん」
「謝る事なんて何も無い…お前は先代の仇を取っただろう?」
そう 深紗はずっと仇を取るために
人生を歩んできた
復讐のためだけに
その手を汚してきた
でも もう終わったんだ
「深紗」
俺が名を呼ぶと
深紗は静かに振り向いた
「湊夜…ありがとう」
「戻ってこい‥‥俺が守ってやるよ」
「‥‥っ」
その顔には 苦悩が見える
すると男が背中を押した
「行けよ‥‥自分がいるべき場所に」
「‥‥ありがとう、ッ」