oneself 前編
part3

それぞれの思い

あれから3日が過ぎた。


あの日、オーナーとの面接を終えて、哲平が戻って来たのは、2時間ほどが過ぎた頃だった。


先輩曰く、オーナーに気に入られた証拠、らしい。


役職の方々への顔見せ。


入寮すると決めたわけではないけれど、寮の案内。


結局、今の仕事を辞めるめどがついてから、と言う事で、話は決まった。


それから二人になって、「いきなりでホンマにごめん」と謝る哲平に、あたしは本心ではないけれど、「哲平の決めた事なら応援する」と告げた。


そう言うしかなかったから。


そんなあたしの言葉に、哲平は少しだけ安心したような笑顔を見せた。


そんな中、世間は明日からゴールデンウィークを迎えようとしていた。


その日の学校帰り、あたしは哲平に呼び出された。


「来週で仕事が辞めれる」


「えっ?」


あまりの早さに、驚きを隠せなかった。


正直、まだ1か月以上先になるだろうと思っていたから。


その間に、哲平の気が変わるかもしれない、なんて微かな希望もあった。


けれど皮肉にも、タイミング良く9日間の大型連休を迎えるという事。


今回の件が上にも伝わり、辞めたいと言う意思は、早々に配慮される事になったという。


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