oneself 前編
「疲れてるんやったら、ゆっくり昼頃まで寝てからでいいよ」


会計の先輩に3千円を手渡しながら、メール文を作る。


月曜から今日までの6日間、慣れない仕事を始めたんだもんね。


そう思いながらも、素直に頑張ったね、とは言いたくない。


哲平が決めた事だから。


弱音なんか吐いていらない。


それに、そんな事を言われたら、明日あたしと会う事さえしんどいんじゃないかって思ってしまう。


メールを送信し、軽くため息を吐いた。


「未来ちゃんどうしたん?何か暗いで~」


そんなあたしを見た富田先輩が、すかさず聞いてくる。


「大丈夫ですよ」


そう言って親指を立ててみせる。


「そっか、ならいいけど。何か悩んでるなら、いつでも言うてこいよ!」


同じように親指を立てた富田先輩。


「プッ…」


そして、二人でなぜだか分からないけれど、指相撲をしながら、大笑いした。


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