oneself 前編
家に着いたあたしは、買った品物を取り出し、それらをマジマジと眺めながら、幸せな気分に浸っていた。


買いたいと思った物が、手に入れられる事。


それがこんなにも、自分の心を満たしてくれる事。


哲平の事をこんなにも考えずに過ごせたのは、本当に久しぶりの事だった。


ベッドにゴロンと寝ころんで、手帳を開く。


帰りのコンビニで買ったオレンジジュースを飲みながら、以前に書き留めた求人情報のページを見つめて、明日にでも電話で問い合わせてみようと思った。


カードの支払いはもちろんの事。


それ以上に、お金が欲しいと思ったから。


勤務地や時給、条件の合うものにチェックをして、パタンと手帳を閉じる。


哲平がホストを辞めるまで、後2週間弱。


それまでに、あたしはもっともっとイイ女になってやる。


哲平が相手にしてるお客さんなんかに、負けないくらいに。


そう考えるとワクワクしてきて、バイトも早く始めたいと、急に熱が入った。


明日から、頑張らなきゃ。


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