oneself 前編
「来月からでいいから、自分で払いなさい」


そう言って、席を立ったお母さんは、そそくさと2階へと上がって行った。


テーブルの上には、ラップをかけられたままのあたしの分の夕飯が、ポツリと置いてある。


あたしはそれをしばらく見つめながら、考えていた。


お母さんの言う事はもっともで。


言い返す言葉がない。


冷めきった鳥の空揚げをつまんで、口の中にほおりこんだ。


久し振りに食べた、お母さんのご飯。


美味しすぎて、何だか切なかった。


でも、それ以上にあたしを悩ますもの。


そんなに高くはないけれど、カードでは支払えない、携帯代。


どうしよう…


その日のベッドの中、あたしはようやく焦りだした。


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