oneself 前編
その日は現地に集合。


でも、お店の場所が分からなかったあたしは、待ち合わせ10分前に、高島屋前で幸子を待っていた。


「未来!」


携帯をいじっていたあたしは、その声の方へと顔をあげた。


「ごめん、待った?」


「いや、今着いたってメールしようと思ってたとこ」


あたしは携帯を鞄に直し、幸子に笑いかけた。


「よし、じゃあ行こっか」


土曜のミナミは人が多くて、あたしは幸子からはぐれないように、急いで後を追った。


グングンと歩いて行く幸子は、心斎橋商店街を通り越し、中へと押し進んで行く。


哲平のお店もこの辺りだった。


そんなあたしの気持ちが伝わったかのように、幸子はクルリと振り返りった。


「哲平のお店ってこの辺なん?」


「あ、うん」


「ちょうどいいや、どこ?前通って行こうや!」


「えっ?」


いたずらっぽく笑う幸子は、案内しろと言わんばかりの顔で、あたしを見つめる。


今は、午後7時半前。


哲平も出勤している頃だ。


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