oneself 前編
幸子の言葉が、胸に染みた。


そう、後少しで哲平はホストを辞める。


もう3週間が過ぎたんだ。


後1週間の我慢だよ。


それに、哲平はあたしを裏切らない。


哲平がモテるのは今に始まった事じゃない。


それでもあたしを選んでくれたもん。


信じなきゃ…


軽く深呼吸をして、気持ちを落ち着けた。


「幸子、ありがとう」


「何、急に改まって気持ち悪い!」


そう言っておどける幸子に、思わず噴き出した。


二人で顔を見合せて、頼りなくだけど笑い合った。


そうして、目的地のお店に到着。


気持ち切り替えなきゃ。


そう自分に言い聞かせながら、お店の中へと入った。


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