oneself 前編
薄暗い店内は、小さい仕切りとカーテンで区切られていて、個室のようになっている。


なかなかお洒落な居酒屋だ。


あたしを含めた5人のメンバー。


幸子以外のメンバーは、卒業式以来だった。


注文を済ますと、自然と会話に火が付く。


久々の再会に会話が弾む中、あたしは一人で考えていた。


どれだけ振り払っても、ふいに頭の中に入り込んでくる、さっきの出来事を。


お客さんの女性は、綺麗な人だった。


年齢は20代前半くらいだろうか。


白のワンピースに、黒のジャケット。


あたしとさほど変わらない格好なのに、どこか上品で、優雅で。


きっとそれは、胸元に光るパールのネックレスと、ブランド物のバッグと、巻き髪ではなく、綺麗に束ねられた髪型のせいだ。


あんな人が、哲平のお客さんなんだ。


もしかしたら、もっともっと綺麗な人だっているかも知れない。


あたしは自分の少し伸びた爪を見ながら、思わずため息が漏れた。


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