oneself 前編
ようやく目的地に到着。


哲平を起こしてバスを降りると、目の前に広がる自然。


テンションの上がったあたしは、一人ではしゃいでいた。


本当に楽しくて、嬉しくて。


さっき願ったばかりの、願いごとの効果かも。


…なんて思いながら。


鈴虫寺の周辺も探索し、そろそろ疲れてきた頃、ちょうど日が暮れて、辺りが薄暗くなってきた。


「今からどうするん?」


「ホテル予約してあるねん」


ちょっと得意気に答える哲平。


ますます気分が上がるあたし。


だから、哲平の様子が少しおかしい事になんか、あたしは全く気付かずにいた。


簡単に叶うような事は、わざわざ願わないよね。


これからの未来が不安定だからこそ、願うんだ。


それを分かっていたから、哲平はここに連れてきてくれたの?


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