oneself 前編
哲平の決意2
ガチャン…
戻ってきた部屋の、扉が閉まる音が響く。
空調は適温に設定されているはずなのに、どこかひんやりとした空気。
「何か寒くない?」
それが二人の温度のような気がして、あたしは明るい声を作って、哲平に尋ねた。
「ん…」
答えになっていない返事の哲平は、疲れた様子でどかっとベッドに腰を下ろした。
とりあえず、テーブルの上にほったらかしになっているお風呂のセットを片付けようと、あたしはソファに腰を下ろす。
静かな部屋に聞こえるのは、ブオーンという空調機の音と、あたしがポーチのチャックを開ける音だけ。
「何か静かやな。テレビでもつけよっか」
そう言って、テーブルの上のテレビのリモコンに手を伸ばした。
「未来」
低い声であたしの名前を呼ぶ哲平にびくっとしながらも、リモコンを手に取る。
「待って、まだ話あるから」
電源のボタンを押そうとした人差し指が固まる。
哲平はまたしても思い詰めた顔で、あたしを見つめていた。
「話…?」
あたしは一度リモコンをテーブルの上に戻す。
「何?」
戻ってきた部屋の、扉が閉まる音が響く。
空調は適温に設定されているはずなのに、どこかひんやりとした空気。
「何か寒くない?」
それが二人の温度のような気がして、あたしは明るい声を作って、哲平に尋ねた。
「ん…」
答えになっていない返事の哲平は、疲れた様子でどかっとベッドに腰を下ろした。
とりあえず、テーブルの上にほったらかしになっているお風呂のセットを片付けようと、あたしはソファに腰を下ろす。
静かな部屋に聞こえるのは、ブオーンという空調機の音と、あたしがポーチのチャックを開ける音だけ。
「何か静かやな。テレビでもつけよっか」
そう言って、テーブルの上のテレビのリモコンに手を伸ばした。
「未来」
低い声であたしの名前を呼ぶ哲平にびくっとしながらも、リモコンを手に取る。
「待って、まだ話あるから」
電源のボタンを押そうとした人差し指が固まる。
哲平はまたしても思い詰めた顔で、あたしを見つめていた。
「話…?」
あたしは一度リモコンをテーブルの上に戻す。
「何?」