oneself 前編
ライターを胸ポケットに戻した哲平は、真っ直ぐにあたしを見てきた。
「仕事を続けたいのは、俺の意思でもあるから」
そう強く言い切った哲平。
「分かってる…」
あたしは聞こえないほど小さな声でそう答えると、がっくりと頭をもたげた。
分かってたよ、そんな事。
初めてホストの仕事をすると言った時だって、今だって…
哲平は自分がどれだけ目を輝かせて話してるかって、気付いてないんだ。
「俺さ、前の仕事してる時の自分が嫌いやった。自分で決めた事やのに、不満ばっかの毎日で。そんな気持ちやから、未来の事まで信じられんようになって」
遠くを見つめながら話す哲平の言葉を、あたしは以前聞いた事がある。
そう、面接の日、先輩の口から。
前の晩、連絡が取れなくなったあたし。
一ケ月間、哲平の事を思いやれなかったあたし。
「でもな、あいつは未来ちゃんの事、何も悪く言ってないで?未来ちゃんに対して、そんな風に思ってまう自分が嫌やって。仕事に対して、やりがいを感じられへん自分が嫌やって。そんな事ばっかり思ってる自分から、変わりたいって」、と。
それを聞いて、あたしは哲平がホストになる事を、許すしかなかったんだ。
「仕事を続けたいのは、俺の意思でもあるから」
そう強く言い切った哲平。
「分かってる…」
あたしは聞こえないほど小さな声でそう答えると、がっくりと頭をもたげた。
分かってたよ、そんな事。
初めてホストの仕事をすると言った時だって、今だって…
哲平は自分がどれだけ目を輝かせて話してるかって、気付いてないんだ。
「俺さ、前の仕事してる時の自分が嫌いやった。自分で決めた事やのに、不満ばっかの毎日で。そんな気持ちやから、未来の事まで信じられんようになって」
遠くを見つめながら話す哲平の言葉を、あたしは以前聞いた事がある。
そう、面接の日、先輩の口から。
前の晩、連絡が取れなくなったあたし。
一ケ月間、哲平の事を思いやれなかったあたし。
「でもな、あいつは未来ちゃんの事、何も悪く言ってないで?未来ちゃんに対して、そんな風に思ってまう自分が嫌やって。仕事に対して、やりがいを感じられへん自分が嫌やって。そんな事ばっかり思ってる自分から、変わりたいって」、と。
それを聞いて、あたしは哲平がホストになる事を、許すしかなかったんだ。