oneself 前編
固まったままの哲平は、苦渋の表情をしていた。


あたしはそんな哲平を見て、少しだけ後悔した。


最低。


そんな台詞を言ってしまった事に。


哲平のイイところは、誰よりも知ってるのに…


あたしが悪い時だって、哲平は責めずにいてくれたのに…


永遠に続くんじゃないかと思うくらいの沈黙。


その沈黙が怖くなったあたしは、ゆっくりと立ち上がり、哲平の座るベッドに向かった。


哲平の隣に腰をおろす。


その時、あたしは哲平の拳が、小さく震えているのを見た。


「哲平…」


その手を、優しく包み込もうとした時だった。


「未来…」


最初は哲平ばかりが喋って、あたしは黙りこくってて。


途中からあたしばかりが喋って、哲平は何も言わなかった。


そんな哲平が、ようやく口を開いた。


消えそうな声で…


でも、何かを決意した顔で…


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