oneself 前編
哲平の顔を見上げると、二人の視線がぶつかった。


どれだけ喧嘩したって、こんな状態だって、哲平のあたしを見つめる目には、愛があると信じてる。


こんな風に考える事にも、こんな風に言い争う事にも、もう疲れたよ。


結局、あたしは何があったって、哲平を好きなんだ。


哲平もそうでしょう?


「未来…」


もう一度、あたしの名前を呼ぶ哲平。


こんな話、もう終わりにしようよ。


そして何事も無かったかのように、あたしを抱き締めてくれたら…


きっと腕の中では、確かに愛を感じられるはずだから…


そんな期待を胸に、あたしは待っていたんだ。


今も尚、あたしをジーッと見つめ続ける哲平。


そしてやっと、微かに動いた唇から、発せられた言葉。


「もう、別れよっか…」


消え入りそうな声で、でも確かにそう口にした哲平は、静かに目を閉じて、頭をもたげた。


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