oneself 前編
その日学校に着くと、普段はあたしよりも先に着いている、奈美の姿が見当たらなかった。


遅刻かな?


たいして気にも留めず、授業を受け、昼になっても現れない奈美にメールを送る。


「どうしたん?体調悪いん?」


結局その日、奈美からの連絡はなく、あたしは一人淋しく過ごした。


心配にはなったものの、そのうち連絡があるだろうと思いながら。


今日は以前から、香と会う約束をしていた。


あたしも香も阪急沿線の学校で、梅田からは地下鉄に乗って帰る。


その日の待ち合わせ場所は梅田。


「お~い、未来!」


先に着いていた香は、あたしを見つけるなり大声で叫んだ。


「声でかいって…」


二人で苦笑しながら、目的もなく歩き出す。


「どうする?何か見る~?」


ショーウィンドウに飾られた洋服に、目を輝かしながら聞くあたしに、香は申し訳なさそうに言った。


「ごめん、お金ないねん。今日は、ちょっと話がしたかったから…」


シュンとする香の姿を見て、少し驚いた。


誰よりも買い物好きの香。


話?


何か悩みでもあるのだろうか?


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