oneself 前編
「未来にカードの事言うたんあたしやし、大丈夫かと思ってさ…」


自分もそんな状況なのに、あたしの事を心配してくれる香。


正直、あたしは香の話を聞いて、焦り始めていた。


でも、両親には頼れない。


香にだって、余計な心配はかけたくない。


「カードはいうほど使ってへんし大丈夫」


あたしはニッコリと笑って見せた。


香はそんなあたしを見て、ホッとした様子だった。


「まぁ、あたしが言える事ちゃうけど、使い過ぎたらあかんで」


香にうんうんと大袈裟に相槌を打つ。


本当にあたしは、何か始めないといけないと思っていた。


「でもな、バイト始めて良かってん」


両親に急かされて、近所の居酒屋でバイトを始めたという香。


週に4回は、シフトに入っているという。


「バイト先にな、カッコイイ人おるねん」


そう言ってにやける香。


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