oneself 前編
次の日も、奈美の姿はなかった。


「未来ちゃん!」


満面の笑みで、駆け寄ってくる翼。


その日は一日中、翼と過ごした。


「勇気出して、未来ちゃんに話しかけて良かったよ!」


学食のカレーライスを食べながら、翼は明るい声でそう言った。


思えば翼は、いつも一人だった気がする。


「あたしも嬉しいで!」


二人で顔を見合せて微笑んだ。


「あ、じゃあ今日の帰り、ご飯食べて帰ろう?」


まるで大好きな人とのデートのように、表情を輝かせる翼。


「うん!」


そしてその日は、梅田のアジアン料理を食べに行った。


次の日も、その次の日も、奈美は休んだままで。


何度か連絡はしたけれど、返事はなくて。


もしも不幸があったのなら、1週間後には連絡があるだろう。


少し気がかりだったけど、どうする事も出来ないまま、あたしは翼と急速に仲良くなっていった。


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