oneself 前編
ブーッ、ブーッ…


午前中の授業を終え、学食でお昼ご飯を食べていると、テーブルの上に置いた携帯が振るえている。


「彼氏〜?」


向かいの席で、ニヤニヤしながらあたしの顔を見つめるのは、ここに来て初めて仲良くなった奈美だ。


奈美は150cmあるかないかの身長に、華奢な体。


肌は色白で、ふんわりとしたパーマをあてている。


大きなくりくりの目は、まだあどけなさが残っていた。


守ってあげたい女の子って、きっとこんな子の事を言うんだろう。


「うん」


受信メールをチェックをし、返信メールを作成しながら答えた。


「まめな彼氏〜。どんな人なん?かっこいいの?」


「へへっ…」


思わずにやけるあたし。


「いいな〜、あたしも彼氏欲しいし!」


そう言って奈美は、頬を膨らませた。


奈美ならその気になれば、いくらでも彼氏なんて、出来そうだけど。


現に、この前の日曜の飲み会では、奈美目当ての男が沢山いた。


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