oneself 前編
それから何日かが過ぎていった。


その週の土曜日、哲平は休日出勤だということで、仕事に出ていた。


あたしは哲平に会えないのなら…と、奈美に誘われるがまま、またしてもサークルの飲み会に出席した。


「未来ちゃんは彼氏おるん?」


隣でそう聞いてくるのは、奈美のお目当ての先輩と、仲の良い人。


隣の隣では、楽しそうに微笑む奈美とその先輩。


それを横目で見ながら、あたしは必死で会話を繋げた。


「彼氏はいますよ~」


元々知らない人と話すのは、得意な方ではない。


だからあたしは、その場に馴染む事とか。


奈美の恋を応援する事とか。


そんな事で頭の中はいっぱいで、それ以外の事になんて、頭が回らなかったんだ…


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