oneself 前編
「お~い、未来!」


午前11時。


待ち合わせ場所に何とか間に合ったあたしは、人気ショップの前で大きく手を振る香の姿を見つけた。


春休みには、何度か遊んだものの、かれこれ1ケ月ぶりくらいになる。


「ってか香、イメージ変わったな…」


「未来は全然変わらへんな~」


そう言ってフフっと笑う香に、何だかイラっとした。


綺麗に巻かれた髪。


有名ブランドのバッグ。


細身のジーンズの上には、淡いピンクのアンサンブル。


首には白のストールを巻いていた。


「大人っぽくなったな…」


「う~ん、周りはもっとすごいで?」


そんな香は、神戸の女子大に通っていた。


ファッション雑誌なんかでも、読者モデルとして載っている子が沢山いるような、お嬢様学校だった。


「そうなんや…」


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