oneself 前編
「幸子、もうすぐ着くって。未来、何にする?」
そう言って手渡されたメニューを、ゆっくりと開いた。
前菜、南瓜のポタージュにフォアグラを浮かべました。
そう書かれてある1ページ目を見た瞬間に、あたしは何も言わずにメニューを閉じた。
「ごめん、お待たせ~」
薄いグレーのパンツの上に、黒色のニットで登場した幸子は、部活帰りにジャージ姿でたこ焼きをつついていた頃とは違って、もうすっかりOLの顔になっていた。
結局注文したのはお昼のランチで、幸いにも幸子と香が同じ料理を選んだので、
「あたしもそれで!」
と言って、切り抜けた。
今まで口にした事のない食材や、独特の味付けに何とも言えず、あたしはただただ二人が楽しそうに話すのを、ぼんやりと眺めた。
あたしの知らないブランドの洋服の話を、楽しそうにする二人。
お薦めの化粧品を、教え合う二人。
綺麗に彩られた爪を見せ合いながら、褒め合う二人。
あたしは押し黙って、ジュースを一滴でもこぼせばシミになりそうな、真っ白なテーブルクロスを見つめていた。
そう言って手渡されたメニューを、ゆっくりと開いた。
前菜、南瓜のポタージュにフォアグラを浮かべました。
そう書かれてある1ページ目を見た瞬間に、あたしは何も言わずにメニューを閉じた。
「ごめん、お待たせ~」
薄いグレーのパンツの上に、黒色のニットで登場した幸子は、部活帰りにジャージ姿でたこ焼きをつついていた頃とは違って、もうすっかりOLの顔になっていた。
結局注文したのはお昼のランチで、幸いにも幸子と香が同じ料理を選んだので、
「あたしもそれで!」
と言って、切り抜けた。
今まで口にした事のない食材や、独特の味付けに何とも言えず、あたしはただただ二人が楽しそうに話すのを、ぼんやりと眺めた。
あたしの知らないブランドの洋服の話を、楽しそうにする二人。
お薦めの化粧品を、教え合う二人。
綺麗に彩られた爪を見せ合いながら、褒め合う二人。
あたしは押し黙って、ジュースを一滴でもこぼせばシミになりそうな、真っ白なテーブルクロスを見つめていた。