oneself 前編
「ってか未来、元気なくない?」


「ホンマや、どうしたん?」


1時間半ほどして、見たい洋服があると言う香の意見で、お店を後にした。


目的地まで向かう途中、お店で黙ったままだったあたしを心配して、二人は問いかけた。


「ん?別に何もないで~」


高校の頃とは変わってしまった二人に、置いて行かれたような気分になっただとか。


初めて行ったフレンチのお店で、自分が場違いなんじゃないかと思っただとか。


そんな事は言えるはずもなく、あたしは笑顔を作ってみせた。


「そっか、それならいいけど…」


「何か悩み事があるなら、言ってや!」


あたしに対する気持ちは、何も変わらない二人に、少しだけホッとした。


そんな事、当たり前の事なのに…


「あ!ここ、ここ!」


嬉しそうに声を張り上げる香は、お目当てのお店を指差す。


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