oneself 前編
「あと何か、欲しいもんある?」


モンブランを口に運んで、満足気な香。


「うーん、欲しいもん挙げたら、きりがないけど…」


あたしはフルーツがたくさん乗ったケーキをつっつきながら、しばらく考えた。


鞄だって欲しい、靴だって欲しい、洋服だってもっと欲しい。


でもひとまずはこれでいいかな、とも思った。


実際のところ、お金がもうわずかなのだ。


「てか未来さ、髪の毛巻いたら?」


「え?」


「長さはあるねんし、巻いたらまたイメージ変わるで!」


「自分で巻けるかな…。コテっていくらするん?」


「コテは3000円くらいで買えるで。あ、じゃぁ帰りに家来る?教えたるわ!」


「ほんまに?」


「いいで~、時間あるし!」


そうしてあたし達はカフェを後にし、買い物を済ませた後、香の家へと向かった。


< 73 / 245 >

この作品をシェア

pagetop