oneself 前編
「じゃ~ん、完成!未来、鏡見てみ!」


香の家に着いて、約2時間。


「どうせなら周りがびっくりするくらいに変わろうや!」


そんな香の提案で、薬局に寄り、髪の毛を染めるブリーチといくつかの化粧品を購入した。


鏡に映る、別人のあたし。


髪の毛の色は、以前よりも明るいオレンジブラウンで。


さっき買ったばかりのコテで、香が丁寧に巻いてくれた。


お風呂でブリーチ剤を落とす際にスッピンになった顔は、揃えた化粧品と、生れて初めてのつけまつげで、普段の自分よりも数倍目が大きく見えた。


「すごいな…」


あたしは何とかそう言うのが精一杯で。


「めっちゃかわいい!てかあたし天才やわ」


あたしにメイクとヘアメイクを施した香は、隣で満足気に頷いている。


これならサークルの先輩達からも、馬鹿にされないよね?


哲平は、生まれ変わったあたしを、かわいいって言ってくれる?


自分でもかなり満足の出来に、あたしは酔いしれていた。


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