oneself 前編
「今着てるん黒やし、白がええと思うで!」


かかっているものと同じワンピースを手にとり、スタスタと試着室に向かって歩く哲平。


「ちょっと待って!あたし今日はお金持って来てないし!」


戸惑いながらも後ろを着いて行くあたしに、哲平はくるりと振り返った。


「俺が買ったるから、給料入ったし」


試着室に押し込まれるように、ワンピースを渡され、カーテンを閉められる。


哲平…


胸元に大きなリボンが付いていて、裾の部分がレースのようになっている、真っ白なワンピース。


あたしが今日着ているものも、ほかに買ったものも、どちらかと言えば、かっこいい感じのものが多かった。


哲平はこういうのが好きなのかな?


試着を終えて鏡に映るあたしは、自分で言うのも何だが、ドコかのお嬢さんのようで。


あたしは嬉しくなって、カーテンを開けた。


「どう?」


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