oneself 前編
結局それから、あたしと哲平はしばらく外をブラブラして、哲平の家で少しゆっくりしてから、その日は別れた。


哲平は本当に、仕事で疲れているようだった。


同期の子とは仲が良いみたいだが、一人すごく陰湿な上司がいるらしい。


「でも、哲平なら大丈夫やって!」


いい加減な気持ちで言ったんじゃない。


本当にあたしは、そう思ったんだ。


だって哲平は、誰からも愛されるだけの、魅力のある人だから。


帰ってからあたしは、駄目もとで両親にカードの話を切り出した。


まだまだ欲しいものは、沢山ある。


今日、哲平が買ってくれたような、上品な感じの洋服だって買いたいし。


そんなあたしに、両親は意外にもあっさりと承諾してくれた。


高校生じゃなくなったあたしを、少しは大人として扱ってくれてるんだろうか。


ちゃんと考えて使う事。


早くバイトを探す事。


その2つは、口をすっぱくして言われたけれど。


それは十分にわかってるつもりのあたしは、さっそくネットを開いて、申し込みの手続きを済ませた。


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