君だから〜たった一人の君〜




「夏川〜」


「なんや」


レディースの格好をした人たちが数十人。


亜倖を囲みニヤニヤ笑う。


「緋澄 亮に近づくな。…お前、何様のつもりや」


そう聞かれたら、こう返すのが亜倖のモットー。


「あ?夏川 亜倖様に決まっとるやろが」


「っ…この!」


リーダーらしき女が手を振り上げる。


その手首をパシッと掴む。


「―ッ!」


「亜倖様をなめんなよ?」


にやりと笑う。


手首を掴む力が強くなって、手が震える。

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