あの日失くした星空に、君を映して。
「今も…海がこわい?」
ふと、思った。
風香と一緒にたまに行く海。
どこまでも透き通っていて、いつか本で見た外国の海みたいに綺麗なのに
深影がいるのはいつもこの高台の草原。
「どうやろ。あんまり近付かないけど、ここから見る海は平気」
「そっか…」
ここから下を見下ろすと、入り組んだ迷路みたいな路地と、建ち並ぶ民家、その先には延々と海が続く。
まるで、ここからの距離がそのまま深影と海の距離みたい。
「幸久の秘密教えてやろうか?」
工藤くんの秘密?
なんでそんなこと深影が…
「あいつの話し方、俺らと違うやろ?」
「あ、言われてみればそうかも」
ここにいる人達は話し方が独特というか、関西弁もどきみたいな感じ。
工藤くんは私と同じ話し方をするよね。
口数が少ないからわかりにくいけれど、確かにそうかもしれない。
「幸久も小さい頃に親と引っ越してきたらしくて、話し方はそのままなんよ」
俺はすぐにつられたけどなー、なんて笑う深影。
海の話はあんまりしたくないのかな…