あの日失くした星空に、君を映して。


「次は鏡華の話を聞かせて」


「私?」


ここ最近の話はし尽くしたし…


私自身の話ってこと?


無理に話さなくていいって、ずっと言ってくれてたのに。


「嫌なら…」


「話す!」


嫌じゃないよ。


深影になら、嫌じゃない。


「私はね…」


いたって普通の日々を送ってきて、変化があったのは本当にここ数ヶ月。


変わってしまった原因はここに来るきっかけにもなったあのこと…


思い出したら震えてくる。


奥歯がガチガチと音を立てて、全身の鳥肌が立つ。


入院しているときの方がずっと冷静でいられた。


今でも鮮明に思い出す、痛みと喪失感。


「鏡華、鏡華」


「あ………」


深影に肩を揺さぶられてハッとする。


頬を伝う涙。


左目だけから溢れ出す雫。


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