あの日失くした星空に、君を映して。
2人には眼のことを教えていないけれど、もうそれでもいいかなって。
気にしないで、なんてすぐには無理だってわかってるから
もっと大人になって、そのときに話せたらなって思ってる。
「あ、あのね、ずっと思ってたんだけど」
「なに?」
「戸塚さんのこと、名前で呼んでいい?」
ソワソワしながら言う佐山さんに、私が断れるわけがない。
思えば、私達はずっと名字で呼び合っている。
佐山さんと高橋さんの2人はあだ名が定着してるけれど、私は流れでそのままだった。
「いいよ。私はなんて呼べばいいかな」
佐山瞳さんと、高橋良美さん。
確か、佐山さんがひとみんで
高橋さんがよっちん…だったっけ。
「あだ名でいいよ!慣れてるし!」
「じゃあ…いや…や、やっぱり無理」
「ありゃ、無理かー。少しずつ慣れてくれればいいよ」
2人で私のあだ名を考えているのを見て、頬が緩む。
名前で呼ぶのってやっぱり苦手だ…
風香のことは風香だけれど、他のクラスメイトのことは皆名字にさん付けしてるしね。
うん、名前で呼ぶ練習もしてみよう。
なんかとっさだと名字呼びに戻っちゃいそうだけれど…
意識して呼んでいたら慣れるかな。