あの日失くした星空に、君を映して。


2人には眼のことを教えていないけれど、もうそれでもいいかなって。


気にしないで、なんてすぐには無理だってわかってるから


もっと大人になって、そのときに話せたらなって思ってる。


「あ、あのね、ずっと思ってたんだけど」


「なに?」


「戸塚さんのこと、名前で呼んでいい?」


ソワソワしながら言う佐山さんに、私が断れるわけがない。


思えば、私達はずっと名字で呼び合っている。


佐山さんと高橋さんの2人はあだ名が定着してるけれど、私は流れでそのままだった。


「いいよ。私はなんて呼べばいいかな」


佐山瞳さんと、高橋良美さん。


確か、佐山さんがひとみんで


高橋さんがよっちん…だったっけ。


「あだ名でいいよ!慣れてるし!」


「じゃあ…いや…や、やっぱり無理」


「ありゃ、無理かー。少しずつ慣れてくれればいいよ」


2人で私のあだ名を考えているのを見て、頬が緩む。


名前で呼ぶのってやっぱり苦手だ…


風香のことは風香だけれど、他のクラスメイトのことは皆名字にさん付けしてるしね。


うん、名前で呼ぶ練習もしてみよう。


なんかとっさだと名字呼びに戻っちゃいそうだけれど…


意識して呼んでいたら慣れるかな。


< 116 / 427 >

この作品をシェア

pagetop