あの日失くした星空に、君を映して。
ふと、防波堤の先に見覚えのある横顔を見つける。
工藤くん…?
風に踊って一段とダイナミックになった髪からして、多分工藤くん。
叫んで呼ぶわけにもいかないよね。
そう思いながらジッと視線を送っていると、それに気付いたのかたまたまなのか、工藤くんがこっちを見た。
佐山さんと高橋さんを見て首を傾げたあと、私に軽く手を振ってくれる。
珍しい。
てっきりスルーされるかと思ったのに。
そのまま家の方向に帰っていく背中を見送る。
あんな所で何してたんだろう。
工藤くんもそんなに海が好きなわけじゃなかった気がするんだけれどな。
疑問に思いながらも、波打ち際で騒ぐ2人に呼ばれて、工藤くんのことを頭の中から振り払った。