あの日失くした星空に、君を映して。


「っ……なんで?」


ビックリして、悲しいのか苦しいのかよくわからない感情に襲われる。


見ていられなくなって、その場にズルズルとへたりこんだ。


深影とそんな関係なの?


深影はいつも工藤くんと一緒に始業のギリギリに登校してくるのに。


金曜日まではそうだった。


じゃあ、土日の間に何かあったの?


グルグルと回る嫌な考えをどうすることもできないでいると、ガラッとドアが開いて誰かが入って来た。


誰か、じゃない。


わかってるよ。


「あれ…鏡華?早いな、おはよう。そんなとこで何しとるん?」


深影が何事もなかったように言うけれど、見ちゃったんだもん。


普通になんてできない。


返事が返ってこないのを不思議に思ったのか、それとも座り込んだままの私を心配したのか


深影がそばに歩いてくるのがわかって、とっさに立ち上がると私は一目散に逃げ出した。


「あっ!鏡華!」


叫ぶ深影の声が聞こえたけれど、止まることなんて出来なくて。


上履きのまま校舎裏に逃げ込む。


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