あの日失くした星空に、君を映して。


*

「はあ?深影に彼女?」


朝の一連の出来事を話すと、風香は大げさなくらいに顔を歪めた。


「そんなんおるわけないやん」


「なんで言いきれるの?」


彼女…かどうかはわからないけれど、仲よさげに見えた。


だからはっきり断言できるわけじゃないと思う。


「なんでって…それはあたしからは言えんけどさ」


ええ…なにそれ。


風香は知ってるのに私がわからないってどういうことだろう。


「まあ、その子には何となく心当たりあるよ」


「えっ、嘘!誰?」


ショートカットくらいしか特徴を言ってないのになんでわかるの?


「畑中美里やろな」


畑中…美里…


「って誰?」


いや誰っていうか、姿はわかっているんだけれど。


名前を教えられてもどんな人なのかがわからない。


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