あの日失くした星空に、君を映して。
「え……帰った?」
裏庭から戻る途中に担任の先生に見つかって1時間みっちり説教をされた後、教室に戻った。
けれど、どういうわけか深影の姿が見当たらなくて。
自分の席で顔を強ばらせる工藤くんに訊いたところ、早退したらしい。
「なんでなん?深影体調悪いん?」
風香もわけがわからないという感じで首を傾げる。
朝はそんな風には見えなかったのに。
体調悪かったの…?
「違う、深影じゃなくて」
「深影じゃない?」
どういうことだろう。
体調が悪いわけじゃないならなんで…
「おばあさんが病院に運ばれたって連絡があって、血相変えて出て行った」
ほら、と工藤くんが指さしたのは深影の机。
そのわきには黒のリュックが掛かったままだった。