あの日失くした星空に、君を映して。


「え……帰った?」


裏庭から戻る途中に担任の先生に見つかって1時間みっちり説教をされた後、教室に戻った。


けれど、どういうわけか深影の姿が見当たらなくて。


自分の席で顔を強ばらせる工藤くんに訊いたところ、早退したらしい。


「なんでなん?深影体調悪いん?」


風香もわけがわからないという感じで首を傾げる。


朝はそんな風には見えなかったのに。


体調悪かったの…?


「違う、深影じゃなくて」


「深影じゃない?」


どういうことだろう。


体調が悪いわけじゃないならなんで…


「おばあさんが病院に運ばれたって連絡があって、血相変えて出て行った」


ほら、と工藤くんが指さしたのは深影の机。


そのわきには黒のリュックが掛かったままだった。


< 139 / 427 >

この作品をシェア

pagetop