あの日失くした星空に、君を映して。


ポツリ、ポツリと小雨が降ってきた。


「雨…か」


この町の雨は降り出すと長い。


「鏡華、傘持ってきとらんやろ」


「うん。深影は持ってたよね?」


朝家を出た時、傘を持っていたから、雨が降るの?って訊いたら


『わからん』って言ってた。


町の人の天気予報が百発百中なのはもう知っているんだから、私も持ってくればよかった。


「一緒に帰ればいいやん」


「へっ?」


「家隣やし」


だ、だってそれって…


相合い傘…だよね。


いや、深影はそういうつもりで言ったんじゃないか。


単に私が傘を持っていないのと、家が隣だから。


うん、それだけだよ。


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