あの日失くした星空に、君を映して。


「あー…ひっどい雨やなこりゃ」


放課後、私の願掛けも虚しくひどくなる一方の雨を見て風香がため息を吐いた。


前の台風並みの雨よりは勢いが弱いものの、グラウンドは一面水浸し。


私と深影の家は山に近いから、上り坂が大変なんだよね。


大雨の日には滝のように雨水が道を流れ落ちる。


その流れに逆らって家に帰ると靴はびしょ濡れ、靴下も絞れるくらい。


「風香は傘持ってきた?」


「もちろん。鏡華は…忘れたんやろ」


「なんでわかったの」


「鏡華のことならなんでもわかるわ」


当たり前やろ?って笑う風香。


いつものように机に伏せる深影を横目に、風香を廊下に連れ出した。


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