あの日失くした星空に、君を映して。


───ガラッ


「風香、傘忘れた。貸して」


眠そうな目を擦って教室から出てきたのは工藤くん。


ショルダーバックを肩にかけて、風香の荷物も持ってきてる。


「幸久も忘れたん?2人ともちゃんとばあちゃん達の天気予報聞いとかんけんよ」


「悠斗がこの前傘折ったから僕の持って行ってるんだよ」


「そんなら仕方ないけど…はやく行こう、これからひどくなるけん」


悠斗くんって確か工藤くんの弟だっけ。


小3のやんちゃな弟がいるって前に教えてくれた。


「あたしの家経由して傘持ってけばいいわ。鏡華、また明日な」


「あ、うん。気をつけてね!」


パタパタと並んで走っていく2人の後ろ姿を見守る。


風香が心配しているようなことはないと思うんだけれどな。


もし風香のことをよく思ってないんだったら工藤くんは絶対に風香に近付かないよ。


工藤くんはいい意味でも悪い意味でも好き嫌いがはっきりしてる人だから、見ていてもどかしい。


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