あの日失くした星空に、君を映して。


とにかく、ここにいても仕方ないし…


「後で戻るから、先生誤魔化しててね」


HRに間に合わないことを予測して、深影にお願いしておく。


多分…あの担任の先生を欺けるって深影でも難しいと思うけれど。


風香に手首を掴まれたままだから歩きにくさはあるものの、お互いの足は迷いなく進む。


相変わらずジメッとした空気の校舎裏。


前と全く同じ場所に腰をおろした途端、風香が泣き始めた。


「風香…?」


押し殺したような、小さな嗚咽。


ここに来るまでも我慢してたんだよね。


ずっと手に力が入っていたから。


小刻みに震える肩をトントンとすると、一瞬ビクリとしたものの、私の手を振り払いはしない。


落ち着かせるように、一定のリズムを刻む。


これは私が深影にされて安心できることだけれど、風香にとってはどうだろう。


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