あの日失くした星空に、君を映して。


ともかく、そうなった理由を私は深影に、風香は工藤くんに何度も尋ねているのだけれど、一向に答えてくれない。


はぐらかされるんだ、いつも。


『頭に血が上っただけ』とか。


工藤くんにいたっては


『深影が殴ってきたから応戦しただけ』なんて言っていたらしい。


工藤くんのいうことが本当なのかは置いておいて、深影のいうことは信用できなかった。


信用というか…納得ができないのかな。


普段熱くなってもすぐに冷静な判断をする深影に限って、頭に血が上ったっていうのはおかしい気がして。


風香と美里さんも交えて思案したけれど、やっぱり本人のいうことが本当だからさ。


それなのに


「だから、鏡華には関係ないって」


「関係なくないよ…って、あれ?」


今、深影が今までと違うことを言った。


関係ないってことは…!


「やっぱり他に理由あるんじゃん!」


途端にヤバッて顔をする深影が私の腕からするりと抜け出して駆け出す。


教えてくれたっていいのに!


寝不足でフラフラしていた姿はどこに行ったのか、そんな元気があるならもう大丈夫。


呆れながら、少しだけ安心した。


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