あの日失くした星空に、君を映して。
夕方。
防波堤に腰掛けた私は視線を明後日の方向に向けて足をプラプラと揺らしていた。
き、気まずい……
さっきからお互いに無言を貫いているせいで気まずすぎる。
かれこれ10分はこんな感じだ。
「あの…さ」
「は、はい!?」
うわ…声裏返った。
反射的に口を押さえた私を見てフッと笑ったのは
「なに?工藤くん」
風に煽られる黒髪を片手で押さえ込む工藤くんだ。
「来てくれると思わなかった」
「だって…来なかったら工藤くんずっとここにいるでしょ?」
「うん」
冗談のつもりで言ったのに、当然みたいに返事をされて戸惑ってしまう。
深影の言ってた通りだ。
『幸久はねちっこいから、待つって言ったらいつまでも待つぞ』って。
半信半疑だったけれど、本当なんだ…