あの日失くした星空に、君を映して。


「はー…あっついなー」


「気持ちいいけどね」


浴槽の縁にうな垂れる風香をパタパタと手で仰ぐ。


久しぶりに来た春霞屋は2人の貸し切り状態。


男湯の方は人が多いみたいで、さっきから賑やかな声が聞こえてくる。


主に深影と工藤くんがからかわれる声がね。


「にしても、あと1週間で夏休み終わりやな…早すぎるわ」


「そうかな?私は長く感じたよ」


7月になってすぐの終業式から、今日でちょうど1ヶ月。


風香が言っていた通り、東高は始業式が早い。


充実した夏休みももうすぐ終わる。


高台にテントを張ってキャンプをしたり


工藤くんの家で和菓子作りを体験させてもらったり


風香の家でパンを作ったり


佐山さんと高橋さんが泊まりに来てくれたりもした。


そのせいか長いようで短いって言葉がピッタリの夏休みを送ることができたんだ。


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