あの日失くした星空に、君を映して。
お風呂から上がり、春霞屋の店主であるおばさんがサービスでくれたコーヒー牛乳を飲みながら談笑していると、男湯からガタガタと音が聞こえた。
予算の都合で改装が女湯しか終わってないらしく、男湯のドアは建て付けが悪いんだって。
「おっそ!めっちゃ待ったわ」
コーヒー牛乳のビンを首筋に押し付けながら風香がほっぺを膨らませる。
私より先に出た風香はかれこれ30分は番台でおばさんと話をしているし、不満なのも仕方ないか。
そんなことを言いながら先に帰りはしないところが風香らしいんだけれどね。
春霞屋を出たらすぐにわかれるのに、工藤くんが送ってくれるからかな?
直接告白はしていないけれど、今はこの関係でいいって風香が笑って言っていたから、少し安心した。