あの日失くした星空に、君を映して。
万華鏡を棚に戻した深影が今度は机の上に目を向けた。
変なもの置いてないよね?
気になるならそう言えばいいのに。
シンプルなフレームに飾られた写真を裏向きに伏せる。
「前の学校の友達」
この前泊まりに来てくれた時に写真を撮ったんだ。
現像された写真が数枚送られてきたから、そのうちの1枚を飾ってたのだけれど、すっかり忘れていた。
あんまり見せたくないんだよね。
ずいぶん前に友達はいなかったって言っちゃったし。
多分、バレてる。
佐山さんと高橋さんを責めてるわけじゃないけれど、深影から見た2人がどう映るのか、想像できるからこそ、言いたくない。
見せたくない。
私はもう平気だから。
だから…
「そんな顔しないで」
伏せられた写真立てを食い入るように見つめる深影の瞳はジリジリと揺れていた。