あの日失くした星空に、君を映して。


暑いのと熱いのが混じって沸騰してしまいそうだった。


それを察したのか、深影がニヤリと笑う。


絶対何かされる!


身構えながらギュッと目を閉じると


「んむっ!」


熱い手のひらで顔を覆われた。


何で深影って手までいい匂いがするんだろう…


お風呂上がりだからかな。


深影が愛用してるボディーソープの桃の匂いがして、ドキドキする。


そういえば小さなボトルを持って春霞屋に行ってた。


いつもの深影の匂いだ。


変態かな、私。


鼻腔をくすぐる桃の香りにだんだんと眠くなってくる。


ん…?眠くなってくる?


自覚した途端に、意識を底に突き落とされるような眠気が襲ってきて、深影の手を退けようとしたのだけれど。


「最近寝てないんやろ、鏡華」


優しい声音が降ってきて、動きを止めた。


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