あの日失くした星空に、君を映して。
「そう…」
「お母さん、その大谷田さんって人誰なの?」
よく来てくれる男性…っていうと思い浮かぶ関係は1つしかないのだけれど。
静かに瞬きをしたあと、優しい顔でお母さんが笑った。
優しい…けれど、切なさを混ぜたような笑顔。
「再婚、したいと思っているの」
何となく、話を切り出された時から予想はしていた。
実際に言われると結構な衝撃で、口からは乾いた笑いしか漏れない。
何で「おめでとう」って言えないかな、私。
あ、まだおめでとうじゃないか。
気が早いって言われちゃうかもしれないけれど、私はそれでいいよ。
突然のことだけれど、お母さんにとってそれが幸せなら。
いつも私ばかり優先するお母さんが自分の幸せを求めてくれることが嬉しかった。
今、私は限りなく幸せだから、人の幸せを素直に喜べる。
恋をすると色んなものや人に優しくなれるんだって初めて気付いた。
嬉しくて、お母さんに声をかけようとしたのだけれど
頬が緩む私とは対照的にお母さんの顔色が曇っていく。
「それでね…………」
重い口を開くように表情を暗くしたお母さんが言ったことが、理解できなかった。