あの日失くした星空に、君を映して。


*

結局、多数決で文化祭の出し物はお茶屋さんに決まった。


冷やしぜんざいとか、水ようかんとか、案は出たけれどメニューはまた後日決めることになった。


調理班のリーダーになったのはもちろん工藤くん。


居残りが確定したことで工藤くんは不機嫌を通り越して怒ってしまった。


正確には、怒っているように見える。


一緒に帰ってはいるけれど、距離が離れすぎてる。


「私のせい…だよね」


工藤くんが和菓子作りが好きだって知って、調子に乗ってしまった。


工藤くんのことは深影にまかせて、私は風香と一緒に後ろの方を歩く。


「いやぁ、鏡華のせいやないやろ。あたしも賛成しちゃったし、あんまり気にせんので」


「うん、ありがと…」


決まってしまったものは仕方ない。


和菓子のことがわかるのは工藤くんだけだし。


家がお店をしている子が多いから、調理方法さえわかれば何とかなりそうなのが救いだ。


< 359 / 427 >

この作品をシェア

pagetop